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いろいろなきもちが心の中にぐるぐる停滞しながらではあるものの、

ここ4日間は本当に素敵な毎日を過ごしました。

 

なぜだかここのところ

もやもやとぐるぐるがずっと渦巻いていて

お休みの日に入ろうが

お休みの時間になろうが

うーーーん、と心が唸っていることが多くありました。

 

休みを4日も取ることに決めたのは自分なのに、

それにさえも、うーーーんと

もやもやや気まずさを感じてしまい、

あまり気持ちよく休みを迎えられなかったのが本音です。

 

 

お休みの初日は、彼に数日ぶりに会えてホッと。

そして気づけば彼のご家族とたくさん時間を過ごしました。

色々と今後のプランも変わっていって

楽しみが増えたのかな、というかんじ。

どきどきも緊張もして、その日の疲れはかなり大きなものだったけれど

ああ、こう過ごせてよかったと振り返ってしみじみと感じています。

 

そして一人になって始まった3日間のひみつの旅。

「ひみつ」でもなんでもないのだけれど、

世の中の一般常識を尺度にすると、今旅に出るのはちょっとな・・・と

思われるようなことだから。

これも今回抱えていたモヤモヤの原因のうちのひとつだったのかしら。

 

でも実際、京都に降り立ってみると

なんだか

寂しくて心が引き裂けれそうになるくらい

人がいませんでした。

 

大好きな街に、人がいないことで快適に過ごせるのはあるけれど

大好きな街に、人がいなくて活気を感じられないのは

なんだかもう、ひやひやもするし、寂しくてたまらないし、

いつまでこんな茶番を延ばして続けていくのだろうと思わされました。

いろんな人の首を絞めて

苦しい決断をさせて

愛ある店が、倒れてゆく。こんな悲しいことが起きていていいのでしょうか。

 

今回の旅の間は、そんなことを四六時中考えさせられていたかもしれません。

 

それはさておき、

まず一人になって目指したのは、

約半年前に伺って以来の貴船神社さん。

 

1週間ほど前に大雪に見舞われていたけれど、

私が訪れた時には、屋根や駐車場などの

人の足の踏み入れないところや陽の当たりにくいところに

雪が残っているような状態でした。

 

3年前の全く同じ時期に訪れた貴船さんは、

灯籠の階段にも雪が積もるくらいに降っていて

境内には焚き火もあって、その暖かさとツンとした空気のコントラストが

本当に気持ちよくて神秘的でした。

 

今回はそれとは少し違って

春の麗かさまでも感じてしまうくらい

暖かい太陽がさしていて

屋根に積もる雪も、きらめいてしずくになって地面に落ちていく、

そんな光景を見つめながらの参拝でした。

 

前回も梅雨のどんよりさを感じにいったつもりだったけど

前回、今回同様に

カーンと晴らしてしまったようでした。

 

張り詰める冷たさを恋しく思いながらも

やっぱり太陽の包み込んでくれるようなぽかぽかさが大好きだと

そう思わされる時間でした。

 

本殿に参拝した後には

心が一気に緩まって

それまで思い詰めていたぐるぐるもやもやが急に解き放たれて

出せなかった涙をようやく出せて、

と思いきや

自分でも驚くくらいに、号泣をしてしまいました。

 

あの感覚は不思議なもので

神様のもとでだからこそできた感情の解放だったのかしらと思います。

 

日本の中で、というか世界の中で

どこよりも神秘的な聖域だと感じる奥宮にもお邪魔をして

その後には、好きな喫茶店でおぜんざいをいただきました。

ホッとしたな。この度初めての喫茶で

自分の好きなもの、求めるものはこれなんだと。

 

 

そして叡山電車をことこと下って、

あやかさんにちょっと前に勧めてもらった一乗寺へ。

もっといろいとお店も食べ物も見たかったけれど

一つの本屋さんだけであんなに時間を過ごせるとは。

近くにあったらいいのにな、いいのにな。

 

美味しいスコーンに温かい紅茶

優しいお弁当屋さんのお姉さんにホテルでの一休み。

やはり欠かせない東山散歩に、誰にも邪魔されないお風呂やテレビのじかん。

 

ちょっと普段と違う生活のせいか

夜中にぎっと目が覚めてしまい

やっぱりゆるまりきっていないなと少し悲しくなったりもしました。

 

 

次の日は、とにかくのんびりすることを心がけて。

 

普段も旅先でも、早く起きてできるだけたくさんのところにと思ってしまうけれど

寝不足を確信した時に、

明日は午後から行動しよう、それくらいに意気込みができたことは

自分の中での一つの大きな成長でした。

 

結局、そんなにゆっくりスタートにはしなかったけれど。笑

 

まず辿りについたのは、素敵な茶寮。

想像以上に素敵でした。

 

でもやっぱり素敵だと思った理由は

大好きだった新潟の家と同じ空気を感じたからでした。

 

結局私の心はあそこから一つも離れられていなくて

しがみついたままで

未練がたらたらで、全然前に進めていないことに気がつきました。

 

土壁、畳、襖、庭の石、はぁ。

でも安心もしました。

なぜなら、あの場所を失ったことには変わりないけれど

同じ空気を感じられる場所がきっとこれから先も存在してくれることを知れたから。

 

苦しさもありつつ

ホッとできる場所を見つけた喜びも握りしめ。

 

そのあとは枯山水に。

陽がさしたり、隠れたり、

あと何回繰り返そうかな、とぼやっと考えながら

ただ庭を眺める時間は至福でした。

ゆるみ、がこのあたりでできてきたかな、と。

 

近くの行ってみたい名の無い喫茶は扉が施錠されていて

ノックまでする勇気もなく

諦めてしまったけれど

その後の北大路散歩と入った喫茶店が本当に最高なところだったのです。

 

笑顔で迎えていただいて

放置されつつ

会話もしてくれつつ

 

心で喫茶店をしているな、と

東京でなかなか感じることのできない感覚を味わえました。

 

これがやっぱり私のしていたいこと。

 

形だけでなく

自己満でも

お客さんだけでもなく

本当に働く人もその家族も仲間もお客さんも

みんな穏やかで幸せそうで。

 

可愛くて好きと思われるとなんか悔しいくらい

働いている方と置いているものとの愛をたっぷりと感じるがために

好きなお店なんだと、人に薦める時には

声を大にして言いたいことです。

 

 

そしてその後緊張しつつも嘯月さんへ。

紙袋片手に、先月から行ってみたかった美術館にも。

誰もいなくてゆったりとした白い空間

西洋も和も感じる

歴史も新しさも感じる洗練された空間に

いる人間は、私と

立っている美術品と1

日に何時間も一緒に過ごしている学芸員さん(あるいは美術館のスタッフさん)とだけ。

 

夕方、陽の傾く時間に

山に落ちる影に少し侘しさも感じながら

京都だな〜〜なんて思いつつ

 

絵を見ることが楽しくて

好きなことを存分にできているこの旅が本当に楽しくて

終わってほしくなくて

 

そんなことを思いながら

大好きな美術。建築に触れる時間を過ごしました。

 

 

憧れのお店でお弁当をピックアップして

じぶんには高尚すぎるくらいの紙袋を抱えてホテルに戻る最後の夜。

 

大好きしか詰まっていない時間を過ごせて

追い討ちにこんな幸せを凝縮できるとは。

 

春らしいきんとんに

うぐいすもち、

お野菜たっぷり丁寧に作られたお弁当。

外食よりも

こんなに楽しくて幸せな過ごし方があるのだと

茶番劇も意外と教えてくれることはあったようです。

 

 

あいも変わらず夜中や朝も起きてしまい

ゆるみ切ることはできなかったけれど

 

バスの方向も間違えたり

てにんやわんやしつつ

天神さんを少し覗けたのもいい経験、

でも行ってみたかったお店でのんびり過ごせたことが

本当に本当にそれをも上回る良い経験になりました。

 

率直に

美味しすぎる。

 

ロンドンの大好きなドーナッツがあって

そこで働いた経験を持つ店主さんの営むお店、

セントジョンのドーナツはかれこれも3年ほど口にしていないことになるけれど

はっ

 

これはきっとセントジョンどころじゃない

世界で一番のドーナッツに出会ってしまいました。

 

食べるとにやける

 

一人でニッコニコしながら

カフェで時間を過ごしたのは本当に久しぶり。

 

携帯や本に触れる心の余地もないくらい

純粋に美味しさに惹かれるという最高の時間。

店員さんも優しく可愛く

やっぱり心で働いている。

 

これが美味しいや心地よいを作る秘訣なんだな、

結局仕事のことは頭から離れずに過ごしてしまう旅になってしまいましたとさ。。

でも考えたくて、考えたような、イメージ。

悪い感情では全くありませんでした。

 

 

最後の場所に選んだのは国立博物館

とら、楽しかった〜見応えあったー

 

そろそろ力が尽きてきた

最後に駅でまた宝泉さんにお世話になり

新幹線も早いなあなんてぼんやり過ごしてあっという間に帰京。

 

でも

階段上がれば水天宮さんで

自宅に帰れば旦那さんがご飯を作ってくれている。

 

悪くない

 

というか贅沢すぎる。しあわせすぎる。

 

それに尽きる。

 

良き人生を歩んでいます。

 

 

そんなことにいろんな方面で気づかせてもらえる旅ができました。

おしまい。寂しいけれど、おしまい。

 

それが現実。

でも

心で働いていこ。

 

そしてまた

吸収しに行こう、という口実で

絶対に戻ろう、大好きな街よ、京都。

 

もっともっと深く繋がりたいな。